2026年・2027年は、23歳未満の扶養親族がいる場合の新生命保険料に係る控除上限が6万円となる特例があります。個人事業主向けに対象確認、12万円の合計上限、経費との違いと申告資料を解説します。
「全員の控除が6万円になる」「保険料6万円がそのまま還付される」という意味ではありません。保険の区分、支払った金額、扶養親族の要件を分けて確認する必要があります。
2026年・2027年の特例で変わること
国税庁の2026年4月の資料では、23歳未満の扶養親族を有する場合について、新生命保険料に係る所得税の控除限度額を6万円とする措置が示されています。対象年分は2026年分と2027年分です。
新生命保険料は、原則として2012年1月1日以後に締結した対象契約に係る一般生命保険料を指します。介護医療保険料や個人年金保険料の枠が、同じように6万円へ増えるわけではありません。
一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料を合わせた生命保険料控除の上限は、12万円のままです。新旧双方の一般生命保険料がある場合も、特例の計算を行う際の合計限度額は6万円です。
特例の計算方法と具体例
次の表は、特例の対象となる新生命保険料についての所得税の計算です。配当金などの取扱いも含め、控除証明書の内容に基づいて確認してください。
| 年間の支払保険料等 | 控除額 |
|---|---|
| 3万円以下 | 支払保険料等の全額 |
| 3万円超~6万円以下 | 支払保険料等×1/2+1万5,000円 |
| 6万円超~12万円以下 | 支払保険料等×1/4+3万円 |
| 12万円超 | 6万円 |
例えば、対象となる新生命保険料が年間8万円なら、この枠の計算結果は8万円×1/4+3万円=5万円です。通常の新契約の一般生命保険料控除では上限4万円ですが、この例では計算上1万円多くなります。
ただし、他の保険料控除と合わせてすでに合計12万円の上限に達している場合など、特例があっても最終的な控除総額が増えないことがあります。また、所得控除が1万円増えても、税金が1万円そのまま減るわけではありません。
対象者は何を確認すればよい?
子どもがいるだけで判断しない
必要なのは、税法上の扶養親族の要件を満たすかの確認です。親族の年齢だけでなく、生計や所得の状況なども関係します。学生・アルバイトという呼び方や、健康保険の扶養に入っていることだけで結論を出さないでください。
保険料の負担者と契約区分を確認する
保険証券の契約者名だけではなく、誰が実際に保険料を支払ったか、受取人などの要件、新契約・旧契約のどちらかを確認します。対象金額や区分が不明な場合は、まず保険会社へ控除証明書の記載を確認しましょう。
所得税と住民税を混同しない
この記事の6万円特例の計算表は所得税のものです。住民税の控除額や税額まで同じ式で計算しないでください。住民税の扱いは、お住まいの自治体の案内で別に確認します。
個人事業主は「必要経費」と「所得控除」を分ける
個人の生命保険料控除の対象となる保険料を、事業用口座から支払ったという理由だけで事業の必要経費にすることはできません。事業の収入・経費の計算と、確定申告で行う所得控除の計算を分けます。
例えば、本人の私的な生命保険料1万円を事業用普通預金から支払った場合、一般的な記帳例は「事業主貸1万円/普通預金1万円」です。事業者向け保険や従業員のための保険など、別の性質の契約までこの例で処理しないでください。
自動連携で保険料の引落しを取り込んだ際は、勘定科目を確認します。事業用口座に生活上の支払いが混ざる場合は、事業用口座と生活費の仕訳も参考になります。
確定申告までに用意する資料
- 保険会社が発行する生命保険料控除証明書
- 実際の支払額を確認できる口座・カード明細
- 契約の新旧区分、一般・介護医療・個人年金の区分が分かる資料
- 扶養親族の年齢・所得・生計の状況を確認するための資料
年末に証明書が届いたら、複数社分をまとめ、紛失や不足がないかを確認します。申告書への添付・提示や電子提出の方法は、申告方法に応じた国税庁の案内に従ってください。個人番号などを通常の問い合わせ欄へ記載しないことも大切です。
よくある質問
2026年だけの改正ですか?
今回確認した国税庁の2026年4月の資料では、2026年分と2027年分が対象です。過去の記事の「2026年だけ」という説明を、そのまま翌年の判断に使わないでください。
特例のために保険を増やしたほうが得ですか?
控除だけで加入を決めるのは適切ではありません。必要な保障、保険料負担、他の控除枠を確認します。保険料の支出額がそのまま税金から差し引かれる制度ではありません。
国民健康保険料もこの6万円枠ですか?
違います。国民健康保険料などの社会保険料控除と生命保険料控除は別制度です。同じ「保険料」という名称だけでまとめて計算しないようにします。
本記事は2026年9月8日時点の一次情報に基づく一般的な解説です。個別の適用可否、税額、申告方法は、所轄税務署または税理士へご確認ください。
出典・確認日
- 国税庁「源泉所得税の改正のあらまし(7ページ:生命保険料控除)」/2026年4月発行・2026年4月1日現在の法令等/確認日:2026年9月8日
- 国税庁「No.1140 生命保険料控除」/2025年4月1日現在の法令等(通常制度の確認用。特例は上記2026年資料を優先)/確認日:2026年9月8日