インボイスの少額特例とは?1万円未満の判定と個人事業主の帳簿

公開日:2026年9月8日 / 更新日:2026年9月22日

インボイスの少額特例は、一定の事業者が行う税込1万円未満の課税仕入れについて帳簿のみで仕入税額控除を受けられる措置です。対象者、取引単位、適用期間と資料整理の注意点を解説します。

「少額だからレシートも帳簿もいらない」という制度ではありません。また、2026年10月に変わる免税事業者等からの仕入れの経過措置とは別です。まず、自分が対象者か、今回の取引が対象かを順番に確認しましょう。

少額特例は誰が使える?

国税庁の案内では、次のいずれかを満たす事業者が対象です。

  • 基準期間の課税売上高が1億円以下
  • 特定期間の課税売上高が5,000万円以下

個人事業者の基準期間は原則として前々年、特定期間は原則として前年の1月から6月です。2026年の判定なら、原則として2024年の課税売上高、または2025年1月から6月の課税売上高を確認します。

ここで見るのは、所得や利益ではなく課税売上高です。少額特例の特定期間の判定では、課税売上高に代えて給与等支払額を使うことはできません。開業や組織変更などがある場合は、期間の扱いも税務署・税理士へ確認してください。

「1万円未満」は税込・1取引で判定する

税抜9,500円だから対象、とは限らない

基準は税込金額です。例えば税率10%で税抜9,500円、税込10,450円の取引は、1万円未満には該当しません。税込10,000円ちょうども対象外です。

商品ごとではなく、通常の取引単位を見る

1回の取引で税込4,200円の商品と税込6,800円の商品を買えば、合計11,000円です。どちらも単品では1万円未満でも、その取引には少額特例を適用できません。

この例は制度を説明するための計算例です。請求書の行を分ける、会計ソフトへ分割入力する、といった操作だけで取引を別々に扱えるわけではありません。月まとめの請求などは、契約と実際の取引の単位を確認します。

いつまで使える?10月の改正とは別に確認

対象期間は、2023年10月1日から2029年9月30日までに行う課税仕入れです。2026年9月末で少額特例が終わる、という説明は正確ではありません。

一方、免税事業者等からの仕入れに係る経過措置は別の制度です。対象者・対象取引・期間を混ぜず、2026年10月からのインボイス変更点とあわせて整理しましょう。

帳簿には何を残せばよい?

少額特例を使う場合も、一定事項を記載した帳簿の保存が必要です。取引先、取引年月日、取引内容、支払対価の額などを、あとから取引を確認できる形で記録します。軽減税率の対象が混ざる場合は、その区分も確認します。

実務上は、帳簿に次の確認欄を設けると、判断の過程を追いやすくなります。以下は法定様式ではなく、確認漏れを減らす管理例です。

確認欄 残す情報の例
事業者の対象判定 判定に使った期間と課税売上高
取引単位 購入内容、合計金額、関連する請求書番号
帳簿との照合 入力済みか、カード明細との重複がないか
不明点 確認が必要な理由と相談した結果

「インボイスの保存が不要」という取扱いと、所得税の帳簿書類・電子取引データの保存は同じ話ではありません。受け取った領収書や電子請求書を、この特例だけを理由にまとめて削除しないでください。

会計ソフトへ入力する前の確認手順

  1. 自分の課税方式と少額特例の対象判定を確認する。
  2. 領収書や請求書から税込の取引合計を確認する。
  3. 購入日、内容、相手先を帳簿へ記録する。
  4. 銀行・カード連携の明細と二重計上になっていないか照合する。
  5. 対象外の取引はインボイス保存や他の取扱いを別途確認する。

会計ソフトの機能名だけで適用可否を決めず、対象取引かどうかを先に確認します。売手の登録を調べる場面では、インボイス登録番号の確認方法も参考になります。

よくある質問

相手が免税事業者でも使えますか?

買手と取引が少額特例の要件を満たす場合、売手が登録事業者かどうかにかかわらず対象になります。買手が要件を満たさない場合まで使えるわけではありません。

免税事業者の自分に税金が戻ってきますか?

少額特例は仕入税額控除に関する措置です。免税事業者が少額の経費を支払っただけで、消費税の還付が受けられる制度ではありません。

少額なら売手はインボイスを発行しなくてよいですか?

この特例は買手側の保存負担を軽減するものです。売手のインボイス交付義務が、この特例によって免除されるわけではありません。

所得税でも1万円未満なら何でも経費になりますか?

いいえ。所得税の必要経費に該当するかは事業との関係などで別に判断します。少額特例の金額基準を、経費の可否の基準として使うことはできません。

本記事は2026年9月8日時点の一次情報に基づく一般的な解説です。個別の適用可否、税額、申告方法は、所轄税務署または税理士へご確認ください。

出典・確認日

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運営・執筆:WorkLifeSupport

本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の税務判断や申告については、税理士または所轄税務署へご相談ください。