オンライン記帳代行は、領収書や請求書、通帳明細などをデータで共有し、会計ソフトへの入力や帳簿作成を外部へ依頼するサービスです。事務所へ何度も足を運ばなくても利用しやすい一方、「何を送るのか」「原本は捨ててよいのか」「確定申告まで任せられるのか」は契約前に確認する必要があります。
本記事では、個人事業主・フリーランス向けに、一般的な利用の流れ、資料の提出方法、安全性を見極めるポイントを整理します。記帳代行全体の依頼範囲やメリット・デメリットは、先に「個人事業主の記帳代行とは」をご確認ください。
オンライン記帳代行とは
オンライン記帳代行では、依頼者が会計資料を指定の方法で共有し、受託者が取引内容を確認して仕訳入力や帳簿作成を行います。打ち合わせ、資料提出、質問への回答、帳簿の受け取りをオンラインで進める形が一般的です。
「オンライン完結」と書かれていても、紙の原本を郵送する場合や、本人確認や契約、確定申告の際に別の手続きが必要な場合があります。どの工程までオンラインで済むのかは、サービスごとに確認しましょう。
オンラインで依頼できる主な作業
- 領収書・請求書・通帳明細などの内容確認
- 会計ソフトへの仕訳入力
- 仕訳帳・総勘定元帳などの帳簿作成
- 不足資料や用途が分からない取引の確認
- 帳簿データや帳票の納品
請求書の発行、振込、給与計算、売掛金管理などは「経理代行」に分類され、記帳代行には含まれないことがあります。また、納税者から依頼を受けて個別の税務相談に応じたり、申告書を作成・提出したりする業務は、原則として税理士等に限られます。納税者本人が自分の申告書を作成・提出することは可能です。記帳を行う会社と申告を担当する税理士が異なる場合は、それぞれの担当範囲と契約先を確かめてください。
対面型・郵送型との違い
| 比較項目 | オンライン型 | 郵送型 | 対面型 |
|---|---|---|---|
| 資料提出 | 写真・PDF・CSVなど | 紙資料を郵送 | 持参または訪問時に受け渡し |
| 利用地域 | 全国対応しやすい | 郵送可能地域 | 事務所周辺が中心 |
| 原本の移動 | 原則として少ない | 紛失・返送方法の確認が必要 | 手渡しできる |
| やり取り | メール・チャット・電話など | 郵送と電話など | 面談中心 |
| 向いている人 | 場所を選ばず依頼したい人 | 紙の整理をまとめて任せたい人 | 直接相談したい人 |
どの方式が優れているかではなく、自分が続けやすい提出方法と、必要なサポートの深さで選ぶことが大切です。
相談から帳簿を受け取るまでの流れ
- 相談時に業種、売上規模、未記帳期間、確定申告の依頼有無を伝える
- 対応範囲、料金、納期、契約期間、解約条件を確認する
- 契約後、資料共有用のフォルダや提出方法を設定する
- 領収書、通帳、カード、売上資料などを提出する
- 用途不明の支出や不足資料について回答する
- 完成した帳簿や確認結果を受け取る
- 必要な場合は、税理士へ確定申告を依頼する
オンラインであっても、利用者による内容確認が一切不要になるわけではありません。事業との関係が資料だけでは分からない支出や、現金取引の内容は、本人の説明が必要になることがあります。
提出する資料とデータ形式
主な資料は、売上の請求書・入金明細、経費の領収書・請求書、事業用口座の明細、クレジットカード明細、借入金返済予定表、前年の申告書・決算書などです。提出形式はスマホ写真、PDF、CSV、クラウド上の共有データなどが使われます。
写真は日付、金額、支払先が読める状態で撮影し、同じ資料を重複して送らないようにします。通帳やカード明細だけでは取引の目的が分からないこともあるため、必要に応じてメモを添えると確認が進みやすくなります。
安全性を確認する7つのポイント
- 資料の送信方法が指定されているか
- 共有フォルダやアカウントで二段階認証を利用できるか
- 閲覧できる担当者とアクセス権限が限定されているか
- 外部委託・再委託の有無と管理方法が説明されているか
- 保管期間、バックアップ、削除方法が明確か
- 解約時に帳簿データと原本が返却されるか
- 事故発生時の連絡窓口と対応方針があるか
「クラウドだから安全」「メールだから危険」と一律には判断できません。個人情報保護委員会も、取り扱う情報や事業規模などのリスクに応じた安全管理措置を求めています。参考として「個人情報保護法ガイドライン(通則編)」を確認できます。
原本保存と電子帳簿保存法の注意点
写真をアップロードしただけで、紙の領収書を必ず捨てられるとは限りません。紙をスキャンして原本を廃棄する場合は、スキャナ保存の要件を確認する必要があります。また、所得税法上、帳簿書類の保存義務がある事業者がメールなどで受け取ったPDF請求書等の電子取引データは、一定の要件に従って電子データのまま保存する必要があります。
代行会社にデータを渡しても、依頼者側の保存義務が当然になくなるわけではありません。誰が、どのデータを、何年間、どの形式で保存するのかを契約前に確認してください。制度の詳細は国税庁の「電子帳簿等保存制度特設サイト」で確認できます。
オンライン記帳代行が向いている人・向かない人
本業が忙しい人、会計ソフトへの入力を負担に感じる人、近くに依頼先がない人、スマホやクラウドで資料を共有できる人に向いています。一方、すべて紙で管理したい人、毎回対面で説明したい人、日々の資金繰りを即時に確認したい人は、郵送型や対面型、自分で記帳する方法も比較した方がよいでしょう。
サービス選びで確認したいポイント
料金だけでなく、依頼範囲、資料提出の頻度、対応会計ソフト、納品物、質問方法、納期、追加料金、データ返却を一覧にして比較します。確定申告も希望する場合は、申告書を作成・提出する税理士の氏名や契約関係も確認しましょう。税務代理、税務書類の作成、税務相談を依頼できる者については、国税庁の「にせ税理士にご注意」でも案内されています。
オンライン記帳代行のよくある質問
会計ソフトを自分で操作する必要はありますか?
サービスによって異なります。利用者による操作が不要なサービスもあれば、口座連携や承認作業が必要なサービスもあります。
領収書はスマホで撮るだけでよいですか?
領収書以外に、売上資料、通帳、カード明細などが必要です。画像の撮り方や原本の保存方法も確認してください。
確定申告までオンラインで依頼できますか?
税理士・税理士法人等が申告業務を担当するサービスであれば、依頼できる場合があります。記帳代行だけの契約に申告書作成・提出が含まれるとは限りません。
マイナンバーは通常のメールで送ってよいですか?
通常の問い合わせフォームや一般メールへ送らず、契約先が指定する安全な提出方法を確認してください。
WorkLifeSupportでは、個人事業主・フリーランス向けに、スマホで資料を提出できる記帳代行と、必要に応じた提携税理士による申告業務との連携を案内しています。対応範囲や現在の料金は「記帳代行・確定申告サポートの詳細」をご確認ください。サービスの利用により、業務効率化や税負担の軽減が保証されるものではありません。