前年より売上や利益が大きく下がったのに、前年の税額を基にした予定納税の通知が届くことがあります。廃業・休業・業況不振・災害・控除の増加などにより、その年の申告納税見積額が予定納税基準額を下回る見込みなら、予定納税額の減額申請を検討できます。
予定納税の減額申請が考えられるケース
- 廃業、休業、失業をした
- 売上減少や経費増加で、所得が前年より明らかに減る見込み
- 災害、盗難、横領で事業用資産等に損害を受けた
- 医療費控除、雑損控除、扶養控除などが増える見込み
- 設備投資や事業転換で当年の利益が大きく下がる見込み
単に「資金繰りが苦しい」という理由だけで自動的に減額されるものではありません。その年の所得と税額を合理的に見積もり、予定納税基準額より少なくなることを示します。
申請時期は7月と11月
国税庁の手続では、6月30日の現況で年間の申告納税見積額が下がる場合は7月の申請、10月31日の現況でさらに下がる場合は11月の申請を行います。具体的な受付期限は毎年の国税庁案内とカレンダーを確認してください。期限後は同じ方法で減額できない場合があります。
申請前に作るべき試算
- 1月から直近月までの売上・仕入・経費を帳簿へ反映する
- 年末までの売上と必要経費を根拠付きで見積もる
- 青色申告特別控除、所得控除、税額控除の見込みを整理する
- 所得税と復興特別所得税の申告納税見積額を計算する
- 予定納税通知の基準額と比較する
月別試算表、売上台帳、経費帳、受注キャンセルの記録、休廃業届、被災資料、医療費等の見込資料などが根拠になります。未記帳の取引が多いと、利益の見積り自体が不正確になります。
減額しすぎにも注意
減額申請が承認されても、確定申告で実際の所得税額を計算します。見積りより利益が増えれば、確定申告時の納付額も増えます。申請のために売上を除外したり、未確定の経費を確定額として扱ったりせず、現時点で合理的な見込みを記載してください。
未記帳の資料が多く試算を作れない場合は、1年分たまった領収書から帳簿を整える手順も確認してください。
よくある質問
売上が下がれば必ず減額できますか?
売上だけでなく、必要経費、控除、申告納税見積額を計算して判断します。税務署の承認が必要です。
帳簿が完成していなくても申請できますか?
申請時点までの実績と年末までの見込みを合理的に示す必要があります。未記帳を減らし、根拠資料と一致させることが重要です。
予定納税を払えない場合は減額申請だけで解決しますか?
減額要件に該当しない場合や納付自体が困難な場合は、税務署の徴収担当へ納税の猶予等を相談してください。
出典
- 国税庁「A1-3 所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請手続」(2026年9月20日確認)
本記事は一般的な情報提供です。見積額の計算、申請理由、期限は個別事情で異なるため、税理士または所轄税務署へご相談ください。