確定申告は、個人事業主やフリーランス、副業収入がある会社員にとって欠かせない手続きです。しかし「今年はバレないだろう」「少額だから大丈夫」と放置すると、思った以上に大きな不利益を被る可能性があります。ここでは、税務署の調査データや実際の傾向を交えて詳しく解説します。
無申告加算税と延滞税
確定申告をしなければ無申告加算税(最大20%)と延滞税(年2.4〜8.9%)が発生します。100万円の税額が2年後に150万円以上に膨らむケースもあります。
還付金を失うリスク
医療費控除や住宅ローン控除、ふるさと納税の控除は、申告しなければゼロです。還付申告は5年間遡れますが、放置すれば数十万円を失う可能性もあります。
青色申告の取消
無申告や遅延が続けば青色申告の承認を失い、65万円控除や赤字繰越のメリットが消失します。
税務調査と関係者への影響
無申告者は調査対象になりやすく、取引先や銀行口座まで調査が及ぶことがあります。重加算税(最大40%)が課されることもあります。
令和5年の調査実態
- 国税庁の発表によれば、令和5事務年度の無申告者調査は約8,000件。
- 1件あたりの追徴税額は平均約180万円。
- 副業やネット取引、仮想通貨取引が多く摘発。
出典: 国税庁「令和5事務年度における所得税及び消費税調査等の状況」
クライアントからの信頼喪失
当社に相談に来た方のうち、確定申告をしていない人の9割以上が資金繰りに困っていました。大手企業や発注元はその事実に気付き、納税証明書の提出を求めるケースが増えています。フリーランスであっても「途中離脱しにくい人」に依頼する傾向が強まっており、申告を怠ることは新規案件の獲得を遠ざけます。
独立後に陥りやすい現実
確定申告ができていない人の多くは、薄利多売の状況に陥り、手元にお金が残りません。依頼を受けたくても料金が払えず、税金すら納められないケースが大半です。知識がないまま独立した結果、資金繰りが破綻してしまうことも珍しくありません。
現在は副業や独立のハードルが下がった時代ですが、知識不足や情報不足、デジタルツールを使えないことが原因で、独立はできても継続するのは困難です。ここまで悪化すると、もはや代行サービスや税理士でも手が回らず、税務署に直接相談するのが最善策になることもあります。
会計ソフトは月1回の外食を控えれば導入できる程度の料金です。「何を削るのか」を考え、健全な経営判断をすることが独立を続けるための第一歩です。
まとめ
確定申告を怠ることは、ペナルティだけでなく信用や資金調達にも大きな影響を与えます。令和5年の実態からも「申告しないリスク」は計り知れません。不安があれば、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
