確定申告って自分でできる?
「確定申告ってどうすればいいの?」「自分でできるの?」そんな疑問を抱いていませんか?ここでは、実際に確定申告が自分でできるのかを解説します。
結論:確定申告は自分でできます
正確に整った帳簿と、それを支える知識やシステム、そして十分な時間があれば、確定申告はご自身で行うことが可能です。
なぜ正確な帳簿が必要なのか?
帳簿とは、売上や経費など、お金の流れを記録したものです。もし帳簿に誤りがあれば、たとえ申告書を完成させても大きな損をしてしまう可能性があります。だからこそ「正確な帳簿」が欠かせないのです。
帳簿作成ってどうすればいい?
売上の請求書や経費の領収書を保管し、エクセルや会計ソフトに仕訳を入力していきます。
8/15 売掛金 100,000/売上高 100,000 (8月分売上)
売掛金や売上高などは「勘定科目」と呼ばれます。これらを入力すると、自動的に各科目ごとに集計されます。消耗品費や接待交際費なども代表的な勘定科目です。この記録方法が「複式簿記」です。
複式簿記って?
複式簿記とは、取引を二つの側面から記録する方法です。
- 売上があれば「収入」が増えるだけでなく、「資産」も増える
- 経費を支払えば「費用」が増える一方で、「資産(現金)」が減る
消耗品費 5,000/現金 5,000
資産・負債・収入・費用にはそれぞれ定位置があり、増減に応じて左右に記録するルールがあります。
なぜ複式簿記で記録するの?
確定申告には「白色申告」と「青色申告」があります。白色申告は簡単な帳簿で済みますが、青色申告は複式簿記での記録が必要です。その代わりに青色申告特別控除が受けられるのです。
条件を満たせば、最大65万円が所得から控除されます。これは65万円の経費を使ったのと同じ効果です。
青色申告特別控除の条件
- 複式簿記で記録すること
- 仕訳帳や総勘定元帳などの帳簿を保管すること
- 確定申告書を電子で提出すること
- 期限内に「青色申告承認申請書」を税務署に提出すること
控除の金額は?
白色申告には特別控除はありません。青色申告には以下の段階があります。
- 青色申告控除 10万円(簡易帳簿でも可)
- 青色申告特別控除 55万円(複式簿記)
- 電子申告を行えば最大65万円まで
複式簿記って自分でできる?
はい、可能です。実際には「確定申告ができるか」よりも「複式簿記ができるか」にかかっています。ここで欠かせないのが会計システムです。入力すれば自動で集計し、仕訳帳や総勘定元帳も生成してくれます。
間違えないためには?
正しく帳簿をつけるためには、以下の点を徹底する必要があります。
- 売上確認:売上高の合計が請求書・領収書・売上管理表の合計と一致しているかを毎月確認する
- 入金管理:売掛金の残高と実際に入金されていない金額が一致しているかをチェックする
- 経費の証拠:領収書やレシートは必ず日付・内容・金額を確認し、スキャンやファイルで保管する
- 勘定科目の使い分け:交際費・消耗品費・旅費交通費など、科目を正しく選ぶことで節税にもつながる
- 現金残高の突合:帳簿上の現金残高と実際の財布・金庫の残高が一致しているかを定期的に確認する
- 月次チェック:毎月末や四半期ごとに帳簿を締め、数字がずれていないか確認する
- 決算前の調整:減価償却費や未払い経費などを忘れず計上し、税務調整の準備を行う
これらを怠ると、税務署からの指摘や余分な税負担につながるリスクがあります。特に領収書の保管や勘定科目の誤りは多くの個人事業主が陥りやすいポイントなので注意しましょう。
結局のところ確定申告は自分でできる?
はい、可能です。ただし、正確な帳簿作成と知識、会計システム、そして十分な時間が必要です。
確定申告の方法
申告書は国税庁の「確定申告書等作成コーナー」や会計ソフトで作成できます。提出は電子申告(e-Tax)か、税務署へ直接持参します。期限は毎年3月15日頃です。
まとめ
確定申告は自分で行うことが可能ですが、簡単ではありません。次の点を押さえて取り組むことが大切です。
- 帳簿作成の正確性:売上・経費・残高の整合性を常に確認すること
- 青色申告のメリット:複式簿記と電子申告で最大65万円の控除を受けられる
- 作業の定期化:毎月・毎期で締め作業を行い、早めにミスを発見する
- 時間の確保:帳簿作成や確認作業には想像以上の時間がかかるため、計画的に進める
- 知識の習得:会計や税務の基本を学ぶことで、経営の意思決定にも役立つ
- 外注の検討:負担が大きい場合や不安がある場合は、専門家やサービスを活用する
自分で申告することは経営数字を深く理解できる大きな機会です。一方で、ミスや負担のリスクもあるため、自分にとって最適な方法を見極めましょう。確定申告を「ただの義務」ではなく、事業を成長させるための学びや改善のチャンスとして活かすことができます。
ただし、これだけの作業を本業の合間に行う必要があります。平均作業時間は40時間以上、多い人では100時間かかることもあります。その負担を理解したうえで、自分でやるか外注するかを判断するのが現実的です。
